任意継続と国保、どちらが安い? 退職後の健康保険を年収別に計算してみた
会社を辞めると、勤め先の健康保険を抜けて、次のどれかを選びます。
- 国民健康保険(国保): 住んでいる市区町村の保険。保険料は前の年の所得と、家族の人数で決まります
- 任意継続: 勤め先の健康保険に、退職後も最長2年入り続ける。会社が払っていた分も自分で払うので、保険料はおおむね在職中の2倍です
- 家族の扶養: 家族が勤め先の健康保険に入っていて、自分の年収が少なければ、保険料は掛かりません
どれが安いかは人によって違います。「任意継続・国保シミュレーター」で、いくつかの例を計算すると、次の3つが分かりました。
計算して分かった3つのこと
- 年収が高い人ほど、1年目は任意継続が安い。任意継続の保険料には上限がある一方、国保は前の年の所得に比例して増えるためです
- 2年目は、国保が一気に安くなる。退職して所得が無くなると、2年目の国保は前の年(退職した年)の所得で決まり、ほとんど掛からなくなります。任意継続は2年目も同じ額のままです
- だから「任意継続を1年でやめて国保に移る」が最も安くなりやすい。任意継続は、申し出ればいつでもやめられます(2022年から)
年収ごとの保険料(1人の場合)
60歳で退職し、退職後は収入が無い場合の、3年間の健康保険料です(東京都・協会けんぽ。国保は全国平均よりやや高めの保険料率)。
| 退職前の年収 | 国保 | 任意継続1年 → 国保 | 任意継続2年 → 国保 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 31万円(27 / 2 / 2) | 39万円(35 / 2 / 2) | 72万円(35 / 35 / 2) |
| 500万円 | 50万円(46 / 2 / 2) | 49万円(45 / 2 / 2) | 92万円(45 / 45 / 2) |
| 800万円 | 81万円(77 / 2 / 2) | 49万円(45 / 2 / 2) | 92万円(45 / 45 / 2) |
かっこの中は1年目 / 2年目 / 3年目です。年収300万円では、任意継続の保険料(在職中の2倍)が国保より高く、最初から国保が安くなります。500万円ではほぼ同じで、800万円では任意継続1年が30万円以上安くなります。
任意継続を2年続けると、どの年収でも2年目に40万円以上多く払うことになります。「任意継続は2年」と思い込んでいると、ここで損をします。
扶養している家族がいると、任意継続がさらに有利になる
国保には「被扶養者」の考え方が無く、家族の人数に応じて保険料が増えます。任意継続は、扶養している家族が何人いても保険料は変わりません。収入の無い配偶者がいる場合は、次のとおりです。
| 退職前の年収 | 国保 | 任意継続1年 → 国保 |
|---|---|---|
| 500万円 | 61万円(52 / 4 / 4) | 53万円(45 / 4 / 4) |
| 800万円 | 92万円(84 / 4 / 4) | 53万円(45 / 4 / 4) |
退職後も働くなら、2年目の国保は下がりきらない
退職後にパートなどで年200万円(勤め先の社会保険に入らない働き方)を65歳まで続ける場合、年収800万円・配偶者ありの人の2年目からの国保は年約21万円です。それでも任意継続(年45万円)より安いため、答えは「任意継続1年 → 国保」のままでした。退職後の収入が多いほど、2年目以降の差は小さくなります。
選ぶ前に確かめること
- 任意継続の申し込みは、退職の翌日から20日以内です。過ぎると入れません。迷ったら申し込んでおき、1年でやめる方法があります
- 国保の保険料は市区町村で大きく違います。このシミュレーターは、全国平均よりやや高めに置いた1つの保険料率で計算しています。お住まいの市区町村のホームページの試算で確かめてください
- 健保組合・共済組合は、任意継続の保険料が協会けんぽと違います。組合から届く案内の金額を入れると、その額で比べます。付加給付や、退職者向けの「特例退職被保険者」の制度がある組合もあります
- 家族の扶養は、失業給付を受け取っている間は入れないことがあります(日額が一定額以上のとき)。シミュレーターは、受け取る日数を入れるとこの期間を除いて計算します
使い方
任意継続・国保シミュレーターで、退職する年齢・年収・勤め先の健康保険(協会けんぽなら都道府県)・家族を入れると、選び方ごとの3年分の保険料を並べて、最も安いものを示します。仕事を辞めた最初の1年に払う住民税・国民年金保険料を合わせた額も出ます。
退職後の家計全体(年金・資産の取り崩し・税金)を一生分で見たいときは、結果をライフプランシミュレーターに引き継げます。
動画で見る
年収600万円・60歳で退職する場合を例に、任意継続と国保を比べた動画です(4分30秒)。
試算の条件
- 60歳で退職(協会けんぽ・東京都)。退職後は収入なし(パートの例を除く)、失業給付は受け取らない
- 国保は全国平均よりやや高めの保険料率(医療分・支援金分・介護分)で計算し、所得が少ない年は均等割の軽減を当てはめる
- 任意継続は、退職時の標準報酬月額(上限32万円)に、協会けんぽ東京都の健康保険料率・介護保険料率・子ども・子育て支援金率を掛ける
- 保険料は2026年度の制度で計算
試算の結果は目安です。実際の保険料は、市区町村・健康保険の窓口で確かめてください。

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